エッセイ//私の道草日記 其の6 越水 涼

 2020.8.21

 ソーシャルディスタンスって何でしょうか? 距離って何でしょうか?

 距離って言うのは、近づいて離れるのがセットであって、離れっぱなしではないと思うんです。例えば、必要な仕事場(会社、職場)へ通って(近づいて)、仕事して、仲間と会って、ライバルと切磋琢磨して、議論して、物を作ったり、物を売るための活動をする。そして、また仕事場から離れて、家への帰路に着く。その往復の過程で動くことが運動になるし、仕事のこと、家族のこと、自分のことを考えたり、息抜きをしたり、遊んだりして帰宅して、また大事な家族と過ごす。これが、職場と離れたままで、仲間と離れたままで、また自宅にいるままで、本当の仕事ってできるんだろうかと思うんです。

 確かに通勤手当は会社としては支給しなくていいとなり、経費節減になるのかもしれません。1か所に集まらないのならその家賃はいらないのかもしれません。お化粧もしなくても自宅でのパソコン上の仕事はとりあえずはこなせるのかもしれません。それらの”プラス面”が見られがちですが、でも仕事に向かう時の気合いとか、意気込みとかが、生活と同じ空間や建物の中で湧き出てくるのか、私には甚だ疑問なのです。中にはごくわずかに、できる人もいるのでしょう。しかし、多くの人はそんな器用ではないのではと私は思うのです。

 考え方が古いと言われるかもしれません。でも私は、仕事場へ通う・家に帰るという、その行き帰りの時間の存在が、頭と心と体にとって大事な物だと思っています。仕事場での8時間なり10時間なりを充実した仕事の時間にするための、表裏一体の物だと思うのです。

 ”テレワーク”がとてもいい物として叫ばれていますが、それはあくまで、新型コロナウイルス感染症等の感染リスクを減らすためと、介護や育児、身体的ハンデのために移動が難しいという方にとっては、ということ以上の物ではないと思うのです。皆様はどうお考えでしょうか?






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