エッセイ//私の道草日記 其の9 越水 涼

2020.10.7

 間が空いてしまいました。九月終わりに連載小説の最終章を公開して、自分なりの達成感を味わい、でも気が抜けた感じです。主人公が女性の小説を書くのが夢でした。でも女性じゃないのに女性と深く関わってこなかった私には難しいことでした。自分なりにこう考えるんじゃないかとか、こういう言い方をするんじゃないかとか考えながら書いたつもりです。

 登場させた人間は少なかったですが、かといって掘り下げて話させたかというとそんな簡単なものではありませんでした。私が好んで読んできた、村山由佳や角田光代などが描く小説では、その設定や言葉の表現、登場人物の気持ちの移り変わりといったものを凄くこれでもかというくらい細かく書かれています。私には、到底及ばないレベルです。

 書き始めた七月初旬から九月終わりの三か月の間ですが、いろいろな出来事がありました。基本は会社へ行ってしがないサラリーマンの立場で労働して、夫・父・息子・義息子・偽小説家としてその時々の必要なことをして生きていました。社会的には、新型コロナウイルスの影響は継続していましたし、台風による災害、芸能界での不幸なことなど悲しいことがありました。

 毎日三度の食事をして、必ず毎日寝て、必ずテレビを観て、必ず本を読んで、その多少はあるものの誰かと会話をする。こんなことができるだけでも本当は幸せなのでしょう。しがないオヤジでも、『糸』を観て嗚咽し、『愛していると言ってくれ』を観て自分の学生時代を思い出しました。

 こういう毎日の生活の中で、小説に何かしらのその時々の自分の気持ちを込めて書こうとは務めたつもりです。残念ながらうまく表現できていないかもしれませんが、今の私の限界なのでしょう。小説を読めばその場所その時代に自分がいるかのように思うことができます。私もこの連載小説を書く中で、三十年以上前のあの場所、あの光、あの音、あの風、あの人といったものを遠い記憶から呼びさますことができました。実在する場所でのこと、創ったエピソードと織り交ぜました。比較的最近の金沢でのことも盛り込みました。

 もう何か月も、いえ一年ほど泊りの旅行には行っていません。旅行や飲み屋に行きたいです。昔の友達に会いたいです。でも、今はただこの世界の状況が少しでも落ち着いてくれることを祈るばかりです。それと、台風が近づいていますが、今まさに収穫のコメやりんごや、もちろんその他の野菜などに影響がないよう、災害にもならないよう祈っています。

 今の、私の近況でした。新作は構想中です。今しばらくお時間ください。ではまた。


 

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