エッセイ//私の道草日記 其の20 越水 涼

2021.5.18

 私の読書は、休日の空いた時間か会社での昼休み時間か夜寝る前の布団の中でしています。もう三年くらいになるでしょうか、もっぱら会社の近くにある図書館か家の近くにある図書館で借りたものを読んでいます。この何か月の間に初めて読んだ作家の作品がいやに気に入ってしまいもう数冊読みました。今読んでいるのがその篠田節子さんの『砂漠の船』という小説です。四十歳台の夫婦のあいだの話が中心に進んで行きます。実はあと三十分あれば読み終わるところまで来ているのですがそこまでの中で思ったことを書きたいと思います。

 毎日生活していく中で主人公は会社のこと、妻のこと、娘のこと、親のこと、自分の住む団地のことなど様々な出来事、問題に直面します。それらすべてが”砂漠”と思えばその進みにくい砂漠の中を”家族”という船や”会社”という船に乗って進もうとする。でも途中には進路を妨げる岩もあれば、穴もあるというようなことを具体的なストーリーで、それも実際あるであろう題材で書かれていてとても面白いのです。特に夫と妻の間の話が私にも考えさせられるところがいっぱいありました。

 実は、時を同じくしてNHKの『半径5メートル』というドラマを観ています。女性週刊誌の記者が主人公で半径5メートルの足元から世の中の色んな事が見えるというコンセプトで毎回違うテーマで、彼女たちが取材して記事にする様が描かれています。その先週の内容が、この身近な話題を取り上げる部署のデスクとその奥さんの関係がテーマになっていたのです。

 特に私もそうですがこの二つの小説とドラマに出てきた、”夫婦”というものは多くの場合、毎日顔を合わせ、お互いがそこにいることや食事を用意することや給料を家計に入れることや洗濯や掃除をすることや子どもの状態を考えることなどいろんなことが、それはあたかも最初から行われていて、当たり前のことのようにお互いに考えている。でも本当はそうではなくて、はじめはそこに二人がいたわけではなくて、二人がいわば運命で出会い、一日一日話し合い、時にはけんかもして積み上げて来た歴史そのものだと思うのです。でも身の周りに起きる色んな事件がきっかけで二人の関係も崩壊してしまうこともある。

 夫婦って時によって、人間と人間であり、男と女であり、父と母であり、きょうだいであり、親友だと思うのです。こんな関係を私は妻とずっと続けて行きたいです。そのために、毎日妻に「関心」を持ち、その言葉や行動に「感心」し「感謝」し「感動」し「感激」することを実行したいと思っています。



 



 

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