エッセイ//私の道草日記 其の24 越水 涼

 2021.11.10

  段々と肌寒くなって来ました。十二月がもう目の前まで来ています。その季節には私の気持ちも沈みがちです。誰か私の心を暖かな心で包んでくれないでしょうか?

 この前の休みに私の町の特産物の”柿”を親戚へ送る手配をしました。農協の柿選果場に行きました。もう何年も続けていることです。住んでいる者にとってはこの季節になれば、毎日見かけるし毎日食べるものですが、大抵の地方では柿は珍しいものでしょう。父の兄弟である叔父さんと叔母さん宅へ送るのです。昨日お礼のメールと電話が来ました。

 叔父さんは”卒寿”だというのに、小学生相手に星空観察の講師をやっていると言います。コロナが下火になったからできるらしく、かなり久しぶりだと言っていました。この叔父はエクセルも使えるし、車もまだ運転しています。残念ながら二年近く会っていませんが、声にも張りがあってお元気そうでした。

 叔母さんは父の弟の奥さんなのですが叔父さんを四十年以上前に亡くして、そのあとはずっと一人暮らしです。それでも、海外に住む娘のところへ旅行に行ったり、趣味の油絵とか登山とかやられるようですごいと思います。特に子どもが小さい時は大変だったと思いますが、いつも明るく元気な叔母です。

 もう一人の叔母さんも、まだ子どもが小さい頃にガンになって、何年か後に再発したのですが、その後はずっと元気です。こちらも四捨五入すれば八十歳だと思うのですが、高齢者の施設で介護の仕事を続けているそうです。介護福祉士だかケアマネージャーだかの資格を確か六十歳くらいになってから取って働いているのです。

 そして、私の娘たちもそれぞれ毎日仕事や、勉強に頑張っています。それに比べて、私はと言うと…。つくづく思うのです。私は何ていい加減な日々を送っているのだろうかと。朝六時に起きて、妻が作ってくれる弁当を持って会社に行き、八時間働いて道草をして帰る。この八時間に毎日何がしかの成長があればいいのですが、新しいことを考えるわけでもない。進んで後輩などに指導するわけでもない。自分の小さなエリアの中で必要最低限のことしかできていないのです。こんな自分と、今書いて来た人たちとを比べて落ち込む自分がいるのです。

 去年の十一月に日帰り一人旅をしました。今年も奇しくもほぼ同じ頃休暇を取って、大学時代を過ごした街へ行って来ようと思っています。今回は来週、火曜だから営業しているはずの「鈴木珈琲店」にも。いい気分転換ができればと思っています。 

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